「90期の現在地、絶賛「令和の波平」中、価値観の荒波を生き抜いております。」
諸先輩方、ならびに後輩諸君。我が豊浦は1792年、長府藩毛利匡芳が長府侍町に藩校敬業館を設立してから今日まで、偉大な先輩方、私ども90期生、そして優秀な後輩諸君を輩出しております。
豊浦は下手な大学より長い歴史があり、各方面で諸先輩方が活躍しております。私ども90期生も、残念ながら亡くなりましたが映画『チルソクの夏』『四日間の奇蹟(きせき)』『カーテンコール』の下関3部作で著名な映画監督の佐々部清先輩、レスリング金メダリストの花原勉先輩、など偉業を成し遂げた先輩方を見上げながら豊浦で育ちました。最近も、映画『幽霊はわがままな夢を見る』が注目を集めているグ・スーヨン先輩、日本の音楽会できらびやかな実績を積み上げておいでの和田薫先輩など、手本とするべき先輩方の存在が、私たちの宝です。
先輩方の有形無形のお導きのおかげで、今日の私どもがあります。諸先輩方に厚く御礼を申し上げるとともに、私どもも少しでも後輩諸君の手本となれますように豊浦の魂で引き続き精進を重ねる所存です。どうぞ、引き続き90期を応援していただければ幸いです。
さて、このような私ども90期でございますが、私どもが豊浦に入学した1986年から今日まで、私どもは価値観の大変動の時代を生きております。
たとえば、私ども90期は今年、サザエさんの磯野波平さんと同い年になります。はい、私どもは今年で54歳です。絶賛、「令和の波平」中でございます。
ただ、その実態はさまざまです。波平さん同様に孫がいて初老に入りかけた同期もいれば、私のように未だに東京で奮闘中の同期もおります。人生100年時代とされる昨今、場所が場所なら54歳はまだまだ若造です。青二才です。年齢の定義も変わったものです。
思えば、私たち90期の豊高生活は、当時のトップアイドルが自殺するというショッキングなニュースとともに始まりました。そのころは未だ「アイドルはトイレに行かない」、「アイドルは年を取らない」などというファンタジーが微妙に信じられていた時代です。そのトップアイドルが自殺するなんて…まあ、価値観の変化を感じる出来事でしたよね。ちなみに、そのニュースが流れた当日、教室で配られた受験情報誌の裏表紙が忘れられません。なぜなら、そのアイドルが「わすれないでね!」のコピーとともに印刷されていたのですから…。
この他にも私たちが21歳でバブル経済が崩壊し、北予備(豊浦別館?)、下ゼミなどで高校4年生を経験した90期は1993年から始まった就職氷河期に巻き込まれました。日本経済の失われた30年、グローバル経済の進展、政府による護送船団方式の廃止、少子高齢社会などなど、社会と経済の激変は数え切れません。
その中を、私ども90期が生き残れてきたのは偉大な諸先輩方が力を与えてくれたお陰であります。諸先輩方へ最大限の感謝を送るとともに、このような私ども90期の生き様を後輩諸君への細やかなエールとさせていただければ幸いです。
豊浦の魂は永遠です。少子化の中で県立高校の今後は不透明ですが、魂は変わりません。永遠に後輩諸君につなげましょう!!
以上、90期からの諸先輩方、および後輩諸君へのメッセージでした。ご拝読、ありがとうございました。
90期 杉山崇
(元文芸部部長、神奈川大学人間科学部教授・脳心理科学者)
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